2011年9月6日火曜日
夏が逝く
雨に濡れたキャンプ場は、さながら廃墟のようだった。 ぼくは傘をさし、(昨晩はせせらぎだった)濁流のほとりで廃墟の風景を見ている。 今朝早くに降りだした雨は、気がつくとシートを透し、眠っているぼくたちの背中に染みとおりはじめていた。 テントの張り方、というか張る場所に問題が...
2011年6月19日日曜日
後悔の情景
どんなぼくの言葉が引き金になったのか、それはもう覚えていない。 あの時、悲しそうに立ちどまりぼくを見る彼女の姿が仲間たちの列からあっという間に遅れ、取り残されていった。 それにもかまわずぼくは歩いていった…。 当時の日記を読み返すと、その夜の後もぼくたちは一緒に出かけて...
2009年6月15日月曜日
時間を失くした交差点
昼休み。信号待ちの交差点。 見るともなしに立ち並ぶ建築群を見上げながら、ぼくはふと考える。 今は会社の昼休みで、ぼくは用件を済ませるために銀行に行き、その帰り道でこうして信号を待っている。 それらの事象をひとつながりの文脈に織り上げているのは、記憶の作用だ。 意識とは...
2006年9月6日水曜日
鳥山昌克のこと(5. クラシック)
そんな日々の中で、ぼくたちが息抜きのように通った店、それが「クラシック」だ。 JR中野駅を北口に出て、サンモール商店街を抜け、中野ブロードウェイにはいる直前のわき道を左に折れると、その店はある。 ずいぶんくたびれた感じのドアを押すと、店内はいきなり真っ暗だ。しばらくして目が...
ラベル:
パッフェルベル「カノン」,
劇団唐組,
鳥山昌克,
名曲喫茶「クラシック」
2006年9月5日火曜日
鳥山昌克のこと(4. 麻雀とAKIRAと哲学書)
その部屋でぼくたちはいつも麻雀をやっていた。 面子は奴の大学の同級生や奴と同じ下宿の住人だったりした。 しかし、そういつも面子が揃うわけもないので、やがてぼくたちは二人麻雀のルールを確立する。一定数の牌を最初に取りよけてしまうのだ。 これでいつでも麻雀の真似ごとができる、...
ラベル:
鳥山昌克
2006年9月4日月曜日
鳥山昌克のこと(3. さかさまの二段ベッド)
大学にはいって、ぼくたちは生まれ育った地方都市から東京に出てきた。 どこでどう道を誤ったか奴はやがて演劇をはじめ、それとともになんだか急速に哲学的になっていった。 ある日奴の部屋に行ってみると、二段ベッドが置いてある。 捨ててあったのを拾ってきたと言う。それはいいのだが、問...
ラベル:
鳥山昌克
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