2006年9月4日月曜日

鳥山昌克のこと(3. さかさまの二段ベッド)

大学にはいって、ぼくたちは生まれ育った地方都市から東京に出てきた。

どこでどう道を誤ったか奴はやがて演劇をはじめ、それとともになんだか急速に哲学的になっていった。


ある日奴の部屋に行ってみると、二段ベッドが置いてある。

捨ててあったのを拾ってきたと言う。それはいいのだが、問題はそのベッドがさかさまに置いてあることだ。


さかさまに置かれたその二段ベッドの上の段、つまり元々は下の段の床板だったところに奴は布団を敷いて寝ていた。

これだと通常の二段ベッドの上段よりもかなり天井に近い位置になる。まだそんな呼び名も生まれていなかったが、ロフトのような感じといえば言える。


夜も更け、20分の距離を歩いて帰るのも面倒になった日など、奴は自分ではちっともそこに寝ようとはしないくせに、やたらとぼくがそこに寝ることを薦めるのだ。

薦められるまま何度か寝てみたのだが、横たわったすぐ目の前に天井があるという状況はなかなかシュールで哲学的ではあった。