2006年9月2日土曜日

鳥山昌克のこと(2. 出会い)

大学時代。

ぼくらは同じ中野区の、歩いて20分くらいのところに住んでいた。


授業に行かない日の昼間(それはつまり毎日ということだが)や飲み会のない日の夜(こちらは逆に滅多にない)など、ぼくらはしょっちゅうつるんでいた。


東中野から大久保通りを歩いて中野北口へ、深夜の山の手通りを歩いて東中野駅近くのモスバーガーへ。また大久保通りからちょっとはいった下宿の奴の部屋へ。それとも中野駅に近いぼくのアパートの部屋へ。

半径ほんの2キロ足らずの円の中で、ぼくらは無為に過ごしていた。


奴と出会ったのは中学のときだ。

学年が替わってあたらしい教室に入ったとき、出席番号順に座ったぼくのすぐ前の席が奴だった。坊主頭の変な奴がいるなというのが最初の印象だった。


奴の方も、こいつは変な奴だなと思っていただろう。

その頃ぼくらの歴史の先生は変わった人で、授業の途中に突然「じんむすいぜいあんねいいとくこうしょうこうあん・・・」と歴代天皇の名前を暗唱しはじめるという特技を持っていた。当時ぼくはその先生に妙な対抗心を燃やして、天皇名の暗唱という一大事業に取りくんでいるところだったのだ。

清掃時間の途中に、中庭を箒で掃きながら不意に「じんむすいぜいあんねいいとくこうしょうこうあん・・・」などとつぶやきはじめる奴がいたら、変だと思わない方がおかしい。


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