どんなぼくの言葉が引き金になったのか、それはもう覚えていない。
あの時、悲しそうに立ちどまりぼくを見る彼女の姿が仲間たちの列からあっという間に遅れ、取り残されていった。
それにもかまわずぼくは歩いていった…。
当時の日記を読み返すと、その夜の後もぼくたちは一緒に出かけているから、どこかの時点で仲直りしたのかもしれない。
ただ、あの時の光景だけが、20年以上たった今も時折脳裏に甦る。
まるであれきり会うことがなかった人との後悔の情景のように。