1988年11月8日火曜日

CHANT D'AUTOMN Ⅲ.秋の歌

冷やかに闇が 待ち
俺たちを呑みこもうとしている さらばだ眩暈よ。つかのまの
夏の光よ。
聞け
窓外に谺する

薪木の束。
乱暴に叩きつけられる 冬の告知。
振りかえろうとする
すべての俺たちのまえに 叩きつけられる。
堅固だった

城壁は崩れ落ち 一切は
死に絶えるであろう 俺たちは
それに耐えるであろう。
見るがいい極北の地平に
いま太陽は沈む 蒼白い氷塊と化して。

急げ。
何処からか槌の音がする おお急げ。棺に釘打つ
音が聞こえる
(誰のためにか)昨日は夏だった いまは秋。
宣告は出発のように 鳴り渡る

不思議な音色。

(ボードレール「秋の歌」より)